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ドレカリのゲストドレスが新品同様のクオリティでレンタルできる理由

皆さんは「レンタルドレス」と聞いてどんなイメージを持ちますか?リーズナブルな価格で色々なドレスを着ることができるなど、便利なサービスとして上手に利用している方がいる一方で、中古のドレスにはやはり抵抗がある、という方もまだまだ多いのがレンタルドレスの現状。小さなお子様がいるお母様の中には、ドレスを汚したり破損の不安があるので借りるのを躊躇してしまう、とおっしゃる方も…。

確かにレンタルドレスは他人同士で着回している中古のドレス。特にゲストドレスはデリケートな生地で繊細なデザインのものが多く、普通の衣類よりも傷みやすいため、貸す側も借りる側も扱いには注意が必要です。また、人気のドレスほど経年劣化は早くなります。

そのような中、前回のインタビューで齋藤菜月さんもおっしゃっていましたが、ドレカリの中島社長が扱うレンタルドレスは新品のように状態が良いという話をよく耳にします。

なぜ、新品同様の状態でドレスをレンタルできるのでしょうか?

その理由は、レンタルドレス専門店の多くが自社で商品のケアや管理を行う中、中島社長はクリーニングと検品、ドレスのセット業務を専門としているその道のエキスパート「株式会社 ケイエム」と業務提携をしているからです。

そこで今回は、まるで新品のようにドレスを復元している「株式会社 ケイエム」の取り組みについてご紹介したいと思います。ドレカリのレンタルドレスの裏側をお見せすることで、レンタルドレスに対する皆さんの不安や懸念が払拭され、ドレカリのサービスを安心してご利用いただけるきっかけとなれば幸いです。

ドレカリのレンタルドレスを新品同様に復元する「株式会社 ケイエム」とは?

株式会社 ケイエムは、高級特殊クリーニングとそのセット業務を行うレンタル衣裳専門の物流加工会社です。もともとは茂呂勝治会長が個人で営んでいた、50種以上の特許を持つ科学に強いクリーニング会社。そこにウエディングの衣裳を取り扱う企業でセット業務の責任者のご経験がある渡邊惠一社長が参画し、衣裳のクリーニングから補修、セット、プレス、検品、発送までを一元管理で行う現在の体制になりました。

企業理念とも言えるケイエムのレンタルドレスのお手入れに対する考え方は、「お客様の履歴を消す」こと。レンタルしたお客様が、前に借りた人の匂いを始めとした使用感を感じることがないよう仕上げることに重きを置いていると言います。

そしてその理念のもと、ゲストドレス以上に繊細で複雑なウエディングドレスや和装、メンズなどの婚礼衣裳のクリーニング、セット、検品を請け負っていたケイエムの専門性と技術力の高さに注目した中島社長が、パートナーとしてケイエムと業務提携を開始したのが今から3年前。ドレカリのレンタルドレスもケイエムの確かな技術力によって、クリーニングからセット業務(検品、補修、お客様への発送・返却処理)が一元管理で行われています。

クリーニング部門、セットセンターの具体的な業務については、茂呂勝治会長、渡邊惠一社長にそれぞれお話をうかがいました。

優れた科学技術で「汚れを落とす」「臭いを消す」クリーニング

前述したとおり、ケイエムのレンタルドレスのお手入れに対する考え方は「お客様の履歴を消す」こと。クリーニングで特にこだわっているのは「匂いの履歴を消すこと」で、昭和62年、茂呂会長はレンタル衣裳ビジネスでは重要なワキガの消臭薬品「デスピア」を自社開発し、薬品特許を取得しました。現在もドレスのクリーニングには欠かせない薬品のひとつで、「ここまで匂いの処理ができるのは強み」だとおっしゃっています。

そのほかにも口紅やボールペン、黄ばみなどの汚れをきれいに落とす薬品、発色スプレーやシルエットコンディショナーといったドレスを新品同様の状態に復元する薬品など、クリーニングに必要な薬品を次々に独自開発。取得した薬品特許は50以上になるそうです。

また、茂呂会長のすごいところは科学技術力だけに限りません。平成2年にはイタリアのソブラナ社と業務提携し、日本の貸衣装店で無許可で扱える小型ドライクリーニング機まで造ってしまったそう。そしてそのドライ機を販売することで、自社で行うクリーニングの負担を減らしたと言います。さらにはクリーニングに付随する様々な機材の独自開発も行っているというから驚きです。

日本で初めて製品に防汚加工を施したり、EXILEのステージ衣装のクリーニングなどを受注したり、海外から名指しで総プラチナのウエディングドレスのクリーニング依頼を受けるなど、常に革新を続け、多くの実績を残してきた茂呂会長。そのバイタリティーはどこからくるのかをうかがうと、「以前身体を壊し、普通のクリーニング業務はもうできないと思ったときに、付加価値のあるサービスについて考えたのがきっかけ。それから常に“何かできないか”と考えるようになりました」と話してくださいました。ドレカリのレンタルドレスは茂呂会長をはじめとしたスタッフの皆さんの探究心と、専門的な技術力を生かしたクリーニングによって品質が保持されているのです。

【ティッシュがまったく傷まない!ケイエムのドライクリーニング】

現在使用しているクリーニング機も自社開発のもの。ドレスの素材や状態に合わせ、水洗機2台、ドライ機1台を使い分けているそうです。ドライクリーニングの様子を、ティッシュペーパーを代用して実際に見せていただきました。

①普通のティッシュペーパーを1枚、ドライ機の中に入れクリーニングスタート。ドラムが勢いよく回り始めます。

②途中、窓からはかなりの量の薬品が激しく泡立つ様子が見えました。ティッシュペーパーは面影すら見えず、想像してしまうのはぐちゃぐちゃになった無残な姿…。

③脱水が終わり機内をのぞいてみると、ドラムの羽の部分にティッシュペーパーを発見!取り出すと、多少の湿り気は残っているものの、破れている箇所もなく、最初と同じ形状を保っていました。気になる薬品臭もほとんどなし。確かにこれなら、どんな繊細なドレスをクリーニングしても傷みが最小限に抑えられそうです。

検品から補修、出荷まで。緻密に計算されたシステムで商品を回すセットセンター

一方、国内トップクラスのセット業務数をこなせるセットセンターでは、渡邊社長の経験とノウハウが最大限に生かされ、出荷ミスのないようセット業務専用の独自開発システムなどを用いて商品を管理し、出荷までを担当。人気のドレスもお客様の要望に合わせて最短で貸し出せるよう、効率よくスピーディーに対応できる体制が整えられています。作業スペースもスタッフが無駄なく動けるよう緻密に設計されているとか。

また、レンタルサービスで大切な検品作業もセットセンターが担っています。商品の返却後と発送前の二度にわたり、ベテランスタッフがドレスやバッグ、アクセサリーなどを細部まで徹底的にチェック。クリーニングでは落としきれないドレスの汚れやほつれ、ビジューの破損、バッグやアクセサリーの不具合などがあれば補修も行います。特に返却後の検品はその後の作業の精度やスピードに大きく関わる重要な作業。セットセンターで行われる徹底した検品は、クリーニング同様、もしくはそれ以上にレンタル商品の品質を担保していると言えるかもしれません。

セットセンターでの業務について、「次に利用するお客様のために最善を尽くしてセット準備をしています。その一言に尽きますね」と話してくださった渡邊社長。多い時はブライダル関連だけで1000点以上ある商品を扱い、無理な日程での出荷を余儀なくされることも多々あるそう。そのような状況下でも、新品同様の状態でミスなくスピーディーに商品を出荷する渡邊社長のその管理能力と手腕に、茂呂会長は「天才」とおっしゃいます。以前はご自身でも商品管理を行っていたという中島社長も、「多くのレンタルドレス店が手作業で行っていることをシステム化して人為的ミスをなくしているのは本当にすごいこと」だとうなずいていました。

【まるで手品のよう!真っ赤な口紅も瞬時に落ちる驚異の科学技術力】

セットセンターでは、真っ白なボレロについた口紅とボールペンの汚れを落とすところを見せていただきました。

①クリーニング用の特殊な薬品だけでなく機材も独自開発しているというケイエムさん。こんな大胆な口紅の汚れも、専用の機材と薬品を使うと…。

②薬品を吹き付けるだけでこのとおり!作業時間、一瞬です!薬品を噴射した瞬間に口紅が落ちていくので手品を見ているような気分でした。

③次は、一度ついてしまうと落としづらいというボールペンの汚れ。汚れに合わせて機材や薬品を使い分けているとのことで、今度は汚れを吸引するモーターも回しています。

④薬品を噴射すると、ものの数分で汚れのない状態に。時間をかけずに完璧に汚れを落とす――汚れを熟知したプロだからこそできることです。レンタルドレスを汚してしまうのはかなり気が引けますが、これなら罪悪感も減りそうですね。

編集後記~ドレカリのレンタルドレスに込められた想い

ドレカリのレンタルドレスの裏側、ケイエムさんの取り組みを一部ご紹介いたしましたが、いかがでしたか?

今回、埼玉にある工場へおうかがいして最初に驚いたのは、すれ違うスタッフの方全員が、誰ともわからない私に対し、にこやかに挨拶をしてくださったことでした。どこか殺伐としたイメージを持っていた私は、さらにその後の取材でスタッフの皆さんが日々、想像以上に多くの衣裳を扱っていることを知り、どこからあの和やかさ・穏やかさがくるのか不思議でなりませんでした。

そして、色々とお話をうかがう中で見えてきたのは、茂呂会長、渡邊社長をはじめ、皆さんの技術力の高さや経験値、仕事への真摯な姿勢だけでなく、レンタルするお客様への思いやりのような温かさでした。レンタルした方が気持ちよくドレスを着ることができるように、さらにはその場、その時間を心から楽しめるようにという思いで商品を扱い、発送していらっしゃるのです。皆さんのお気持ちが新品同様のレンタルドレスとして形になっているから、直接お顔を合わせることのないお客様から返却時にお礼のお手紙が同梱されていたり、リピーターという形でファンが増えているのかもしれないなと思いました。

繰り返しになりますが、こうしてケイエムさんの取り組みをご紹介したことで、少しでも多くの方に安心してドレカリのサービスを利用していただけたら幸いです。そして、中島社長がおっしゃるように、女性が経済的な負担なく、お気に入りのドレスで晴れの席を楽しむためのひとつの選択肢として、レンタルドレスがより普及するきっかけになればいいなと思います。

【インタビュアー】タカノマイ